なぜそうなるか
水漏れの修理は「水道局が指定した工事店」に——水道法は水道事業者に指定を認め、東京都水道局は指定を受けた工事店の一覧を公開していました
夜中に台所の床が濡れている。洗面台の下をのぞくと、管のつなぎ目から水がにじんでいる。慌ててスマートフォンで「水漏れ 修理」と打つと、すぐ来てくれるという業者の広告がいくつも並びます。
どこに頼めばいいのか分からないまま、目についた番号に電話をかけてしまう。そういう場面は珍しくないはずです。
ところが、水道の工事には、誰でも請け負えるわけではない仕組みがあります。水道を供給する側(水道局など)が、工事を任せられる事業者を指定しているのです。
この「指定」は、どの法律に書かれているのか。指定を受けた事業者は、どこで確かめられるのか。そして、蛇口のパッキンを替えるような小さな直しにも、その仕組みがかかるのか。
そこで、水道法と同法施行規則の条文、東京都水道局の「よくある質問」の漏水の頁と「漏水修繕の依頼先」の頁を開き、書かれていることを並べました。
特定の工事店を選ぶための記事ではなく、料金の相場も扱いません。手元の水漏れがどの決まりに当たるかは、お住まいの地域の水道局の案内で必ず確かめてください。
・水道法は、給水装置工事を適正に行えると認められる者を、水道事業者が指定できると定めている
・指定の基準は法律で決まっていて、基準に合えば水道事業者は指定しなければならない
・指定をしたら、水道事業者はそれを一般に知らせる措置をとる
・東京都水道局は、指定を受けた水道工事店の一覧を公開している
・こま・パッキンなど末端の部品の取替えは、施行規則が「軽微な変更」として別に扱っている
「指定」は、どの法律に書かれているの?
水道局が工事店を指定するのは、水道局が独自に決めていること?
条文の第1項はこうです。
「給水装置」は、家の中へ水を引き込む管や蛇口などを指す言葉です。指定の目的は、給水装置の構造と材質を基準に合わせておくことだと、条文そのものが書いています。 同じ条の第2項は、指定を受けた者を「指定給水装置工事事業者」と呼ぶと決めています。水道局の案内に出てくる長い名前は、この条文の呼び名です。水道事業者は、当該水道によつて水の供給を受ける者の給水装置の構造及び材質が前条の規定に基づく政令で定める基準に適合することを確保するため、当該水道事業者の給水区域において給水装置工事を適正に施行することができると認められる者の指定をすることができる。
基準は、水道局ごとに違うの?
東京都水道局の「よくある質問」は、指定を受けた工事事業者でないと給水装置の工事ができない理由を、こう説明していました。
水道水の供給を受けるための給水装置の構造や材質が不適切であると、お客さまが安全で良質な水道水の供給を受けられないばかりでなく、公衆衛生上も問題が発生する恐れがあります。
続けて、基準がどこで決まっているかにも触れていました。
条文では、水道法の第25条の3がその基準です。事業所ごとに給水装置工事主任技術者を置くこと、国土交通省令で定める機械器具を持つこと、法律に違反して刑を受けてから2年を経ていない者などに当たらないこと、が並んでいます。基準に合えば、水道事業者は指定しなければならないという書き方です。この指定基準は水道法に定められている全国統一の基準で、指定の申請があった場合、水道局は工事事業者がこの基準に適合していると認められるときは、指定を行わなければならないとされています。
指定を受けた工事店は、どこで確かめられるの?
頼もうとしている業者が指定を受けているかは、自分で調べられる?
水道法の第25条の3の第2項です。
水道事業者は、第十六条の二第一項の指定をしたときは、遅滞なく、その旨を一般に周知させる措置をとらなければならない。
東京都水道局の「漏水修繕の依頼先」の頁には、「東京都指定給水装置工事事業者一覧」が23区と多摩地区などに分けて置かれていました。一覧には、こう注記があります。
東京都指定給水装置工事事業者として指定を受けている水道工事店の一覧です。一部に修繕対応を行っていない工事店も含んでいる可能性があります。
同じ頁には、もう一つ別の一覧もありました。
指定の一覧と、修繕を受けている事業者の一覧は、別のものとして並んでいます。どちらの一覧も東京都水道局の給水区域の話で、武蔵野市・昭島市・羽村市・檜原村と島しょ区域は除くと頁に書かれています。ほかの地域にお住まいなら、その地域の水道事業者の案内を開くことになります。東京都指定給水装置工事事業者として指定を受けており、水道メータ下流側の修繕工事を行っている事業者のうち、水道局ホームページにおいて登録情報の公開が可能である事業者の一覧です。
東京都水道局の頁には、水道工事店の組合が運営する窓口が、修理に伺える最寄りの指定事業者を1社あっせんするという案内も載っていました。
| 頁に載っていたもの | 中身 |
|---|---|
| 東京都指定給水装置工事事業者一覧 | 指定を受けている水道工事店。修繕を受けていない店も含みうる |
| 東京都水道局修繕対応登録事業者一覧 | 指定を受け、メータより下流の修繕を行う事業者のうち、公開できる事業者 |
| 組合が運営する窓口 | 最寄りの指定事業者を1社あっせん |
水道局が直してくれる漏水もあるの?
漏れている場所によって、頼む先は変わる?
「漏水修繕の依頼先」の頁は、漏れている場所で案内を分けていました。道路から水道メータまでの漏水は、一部の場合を除いて水道局が修理を行う、と頁は書いています。家の側については、こうです。
メータを境に、道路側と家の側で頼む先が分かれています。集合住宅の場合は、建物の所有者や管理会社へ相談するようにとも、同じ頁に書かれていました。蛇口など、水道メータから蛇口までの漏水の場合は、お客さまご自身で水道工事店へ修理依頼を行ってください。
修理の代金は、水道局が見てくれるの?
東京都水道局の「よくある質問」には、代金についての問いがありました。
修繕の内容や費用については、お客さまと工事事業者との契約になりますので、水道局で修繕代金について指導することはできません。
「漏水修繕の依頼先」の頁にも、同じ線が引かれていました。
なお、金額を含む契約内容につきましては、東京都水道局は関与いたしません。
そのうえで、頁は申し込むときの注意に番号を振って並べ、その二つ目にこうあります。
なるべく複数の水道工事店から見積書を取り、内容を検討してください。
パッキンの取替えにも、この仕組みがかかるの?
蛇口のパッキンを替えるだけでも、指定の工事店でないといけない?
水道法の第16条の2は、第2項と第3項で、指定工事事業者などが施工した給水装置であることを水の供給の条件にできると書いています。第3項の終わりには、ただし書きがありました。
ただし、国土交通省令で定める給水装置の軽微な変更であるとき、又は当該給水装置の構造及び材質が前条の規定に基づく政令で定める基準に適合していることが確認されたときは、この限りでない。
その「軽微な変更」を定めているのが、水道法施行規則の第13条です。
法第十六条の二第三項の国土交通省令で定める給水装置の軽微な変更は、単独水栓の取替え及び補修並びにこま、パッキン等給水装置の末端に設置される給水用具の部品の取替え(配管を伴わないものに限る。)とする。
条文が挙げているのは、単独水栓の取替えと補修、こまやパッキンなど末端の部品の取替えで、配管を伴わないものに限られます。手元の直しがこれに当たるかどうかは、この記事では判断していません。管のつなぎ目から漏れている場合のように配管が関わるときは、条文の言う範囲の外になりうるので、水道局の案内で確かめてください。
この記事で確認したこと
・水道事業者は、給水装置工事を適正に施行できると認められる者を指定できる(水道法第16条の2第1項)
・指定の基準は法律で決まっていて、合えば指定しなければならない(同法第25条の3第1項・東京都水道局のよくある質問)
・指定をしたら、一般に周知させる措置をとる(同法第25条の3第2項)
・東京都水道局は、指定事業者の一覧と、修繕対応の登録事業者の一覧を別に公開している
・メータから蛇口までの漏水は、自分で水道工事店へ頼むよう東京都水道局は案内している
・修理の代金は依頼者と事業者の契約で、東京都水道局は関与しないと書いている
・こま・パッキンなど末端の部品の取替え(配管を伴わないもの)は「軽微な変更」(同法施行規則第13条)
よくある質問
住んでいる市が東京都水道局の区域でない場合は、どこを見ればいいですか
水道法の第25条の3第2項が周知を求める相手は、指定をした水道事業者です。お住まいの地域で水道を供給している事業者(市町村の水道局など)の案内を開いてください。今回読んだのは東京都水道局の頁だけです。
一覧に載っていれば、修理を頼んで大丈夫ですか
一覧が示すのは、指定を受けているかどうかです。東京都水道局は、一覧に修繕を行っていない工事店も含まれうると注記し、金額を含む契約内容には関与しないと書いています。工事の内容と見積もりは、頼む前に工事店に確かめることになります。
水が止まらないときは、まず何をすればいいですか
今回読んだ出典は、指定の決まりと依頼先の案内が中心で、応急の手順までは扱っていませんでした。お住まいの地域の水道局の案内を開いてください。
この整理が変わる条件
- 水道法、同法施行令、同法施行規則が改められた場合(本記事は2026年9月26日に読んだ条文)
- 東京都水道局が、「よくある質問」や「漏水修繕の依頼先」の頁を改めた場合
- お住まいの地域の水道事業者が、東京都と違う案内をしている場合
出典
- 東京都水道局「よくある質問 水漏れ(漏水)について」 https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/faq/qa-7
- 東京都水道局「漏水修繕の依頼先」 https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/trouble/rousui/shuri
- 水道法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000177
- 水道法施行規則(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000100045
頼む前に、お住まいの地域の水道局の頁で「指定給水装置工事事業者」の一覧を開いてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: